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外科で診る病気のお話

切り傷とは

皮膚が鋭利なもの(包丁やカッター、新しい紙や本など)で、きれてできる傷を言います。皮膚の厚みのごく浅い部分の表皮(ひょうひ)だけが切れた場合は、出血があっても、通常はしばらく圧迫すれば血は止まります。この場合、多くは縫合などの医療処置は必要ありませんので、ご家庭で絆創膏処置などを行い、様子をみましょう。

ただし、屋外や汚い物でけがをした場合は、縫合が不要な傷であっても感染(化膿)の危険がありますので、よく水道水で洗い、不安があるときは早めに医療機関を受診してください。

医療機関では、しっかり洗った後、抗生剤入りのワセリン基剤の軟膏処置や医療用テープによる固定での経過観察となりますが、あきらかな汚染創(動物の引っ掻き傷など)の場合は、さらに抗生剤を処方します。

表皮の切り傷

表皮の切り傷の場合、化膿しないでそのままうまく表皮が癒合すれば、傷あとがほとんどわからないくらいにきれいになおることが多いと言われています。塗り薬で治した場合も、表皮までの切り傷はきれいになおることがほとんどと言われています。

深い切り傷

皮膚の土台である真皮(しんぴ)が露出するくらいの深い切り傷になると、下の白い真皮がみえ、傷もやや開き気味になります。皮膚全層が完全にきれてしまうと皮下脂肪がみえ、傷も大きく開きます。最終的に傷あとが残りやすいですが、縫合した方がきれいになおることが多いです。

化膿の危険性は、先ほどと同じで、汚染の可能性がある場合は、しっかり洗い、抗生剤内服と抗生剤軟膏を塗ります。受傷して2~3日経過し、すでに化膿している場合は、縫合するとかえって化膿がひどくなりますので、縫合できるかどうかは、汚染されておらず、すぐに受診した場合にかぎります。

なお、比較的清潔な傷で、血流の良い小児の顔などでは、真皮まで切れてしまった場合でも、局所麻酔ができるかどうか、残る傷あとに大きな差があるかどうかなどを考えて、縫合する以外の方法、たとえばテープ固定などを検討します。ただし、血を止めたり、深い傷の洗浄を行うだけでも麻酔が必要になることもあります。

皮膚の土台である真皮が、完全に切りはなれてしまっている場合、切り傷は大きく紡錘形にひらいてしまい、皮下脂肪や、筋肉、骨が見えてしまう場合もあります。長さにもよりますが、出血量は多くなり、この場合は、きちんと縫合しないと開いたキズの状態が長く続き、日常生活に支障がでてしまいます。

骨が見えている場合、皮膚の下を走る神経が損傷してしびれが出ている場合、腱が切れている場合、血管の損傷(ドクドクと拍動しながら血液が噴き出す)がある場合など、はげしい傷の場合は、診療所では対応できないため、総合病院をすぐに受診し、損傷した組織を適切に縫合してもらってください。

抜糸について

縫合した場合、外側にみえる糸は、通常、1~2週間で抜糸します。抜糸の時期は傷の状態にもよりますので、必ず縫合した医師にご確認ください。遅すぎる抜糸は、キズあとの外にさらに縫合糸の貫通した穴のような傷あとがのこることがありますので、適切な時期に抜糸されることが大事です。

傷あとはそのあと一時的に赤くなったり固くなったりすることが多いですが、最初の1~2か月をすぎたころから普通はゆっくり赤みと固さが改善していきます。

もし、傷あとをなるべく目立たないような治療を希望される場合は、初めから形成外科の受診をお勧めします。形成外科医は傷あとが目立たなくなるような特別な皮膚の縫い方を習得しており、外科とは使用する手術器具や糸も違います。

参考:日本創傷外科学会HP

擦り傷とは

擦り傷は、転んだり足を滑らせたりしたときに道路や壁などに手足や顔などをこすってできる、日常生活で最もよく経験する傷の一つです。服から出ている部分で飛び出したところがこすれやすく、膝、肘、手、頬、あごなどにできやすいと言われています。こすれて傷口に砂やアスファルトなどが入ると、膿みやすかったりキズあとを残しやすかったりするため、注意が必要です。

擦り傷ができたら

まず傷口の砂や泥などを水道水でしっかり洗い流してきれいにすることが重要です。石鹸でよく泡立てて洗うこともお勧めします。最近では、キズは乾かさずに治した方が早くきれいに治ると言われています。そのような傷薬である被覆材を活用してください。軽い擦り傷の場合でも、ご心配があるときは、医療機関を受診することをお勧めします。

傷口が大きく、深いとき

速やかにお近くの総合病院を受診して下さい。病院での治療は、まず傷口を洗って、砂やアスファルトなどがついてないか、小石やガラス片などが埋まりこんでないか観察します。これらをそのままにしておくと、膿んだり、黒茶色の傷あとを残すことがあります。砂や小石、アスファルト、ガラス片などがあるときには、麻酔をして、小さなピンセットやブラシで取り除きます。

このような手当てで、傷口はいったん出血したり痛々しくなりますが、とても大切な治療です。次に、少し出血があるときは出血を止める被覆材を当て、出血が少ないときには傷を適度な湿潤環境にする被覆材を当てます。膿む危険性が高いときや小さなお子さんで被覆材を貼っていくことがむずかしいときには、傷口を洗うことと塗り薬で治すことがあります。

紫外線対策について

このようにして傷口が治ったあとも、しばしば2~3か月傷あとの赤みが続くことがあり注意が必要です。赤みがみられる間は、日光などで茶色の色がつきやすく、日焼け止めクリームや帽子・日傘などで紫外線対策をしてください。

また、擦り傷が治ったあとに黒茶色の色を残したときは、レーザーなどで治療できることがありますので、お近くの形成外科を受診し、ご相談ください。

参考:日本創傷外科学会HP

熱傷(やけど)とは

熱傷(やけど)とは、皮膚に様々な熱源(熱い液体、金属、炎など)が接触することにより皮膚・粘膜に生じた障害を言います。熱傷の重症度は、傷害された皮膚の「深さ」と「面積」によって分類されます。

深さによる分類

分類症状
①Ⅰ度(ED)

表皮内の熱傷で、皮膚の赤み、むくみが生じます。痛みは強いものの、通常、数日で治癒し、傷あとも残りません。

②浅達性 Ⅱ度(SDB)

真皮浅層の熱傷で、皮膚の赤み、むくみに加えて水疱(水ぶくれ)が生じます。鋭い痛みを伴い、通常、1〜2週間であとを残さないことが多いです(色素沈着を生じることがあります)。

③深達性 Ⅱ度(DDB)

真皮深層の熱傷で、赤み、むくみ、水疱を生じます。体毛や汗腺、神経終末も障害されるため、痛みはSDBより強くなります。通常、3〜4週間で治癒しますが、瘢痕形成することが多いです。

④Ⅲ度

皮下組織まで及ぶ熱傷で、水疱は形成せず、血管傷害によって皮膚は白色(または黒色)になります。また、知覚神経傷害により痛みはほとんどありません。通常、治癒までに1ヶ月以上かかり、肥厚性瘢痕や瘢痕拘縮(ひきつれ)を起こしやすくなります。

①、②は診療所レベルでも対応可能です。③、④や、顔面に炎を浴びた場合(鼻毛が焦げた場合)は緊急対応ができる総合病院を受診するようにしましょう。

面積による分類

熱傷は広範囲ほど重症であり、正確に面積を判定する必要があります。面積の判定法は、9の法則(成人)、5の法則(小児)、手掌法などがあります。

判定法
手掌法

てのひらの面積を全身の1%として計算します。成人のみ適応されます。

 
9の法則

体の部位を主に9の倍数で計算します。成人のみ適応されます。

5の法則

体の小さな幼児、乳児に合わせた算定法です。

Ⅱ度熱傷が15%以上、Ⅲ度熱傷が2%以上、または特殊な部位(顔のように特に見た目が気になる部位、手足のように繊細な機能が必要になる部位、会陰部など特殊な部位)にあると中等症以上とされ、入院治療が必須となります。

治療について

受傷してしまったら、まずはすぐに冷やすことが重要です。水道水を流しながら少なくとも20分程度冷やすことで、症状が進むのを抑え、痛みを和らげる効果があります。洋服を無理矢理脱ぐと、傷害された皮膚も共に剥離してしまうため、まずは衣類の上から水で冷却して下さい。

初期治療

治療の目的は、「熱傷の進行を防ぐこと」「感染を起こさないようにすること」の2点が重要となります。そのためには、「湿潤環境を保つための軟膏」「感染症に対する抗生剤投与」などが必要になります。

インターネットでの誤った情報や民間療法によって傷が悪化する場合も少なくありません。
(例:アロエが良いと聞いてアロエの葉を熱傷部位にひもで縛りつけていた、など)

肥厚性瘢痕や瘢痕拘縮(ひきつれ)などが起こるかどうかは、初期治療によって大きく左右されるため、不正確な知識での治療は禁物です。

上皮化した後の治療

これ以降は、形成外科の領域となります。

初めに上皮化(傷が覆われた)した時に終了ではありません。Ⅲ度熱傷や一部の深達度Ⅱ度熱傷においては、数週間から数か月にかけて徐々に創部が肥厚し、かゆみや痛みを発生することがあります。低温熱傷も、軽傷に思えて深くまで熱傷が到達し、長期に治療がかかることがあります。

治療を自己判断で終わらせることなく、特に親族にケロイド体質のいる方は上皮化数か月後まで治療を続けることが重要です。

参考:日本医科大学 武蔵小杉病院HP

虫刺されとは

虫刺されは、ハチ、ムカデ、ブヨなどの虫に刺されたことによりおきてしまう腫れを言います。虫に刺されると、刺された部位とその周辺に赤い発疹、かゆみ、腫れ、痛みなどの症状が現れます。

虫に刺されてこのような症状が起きるのは、それぞれの虫がもつ毒や、虫の唾液に含まれる成分が皮膚に注入されてアレルギー反応を起こすためです。

アレルギー反応について

アレルギー反応には、刺されてすぐに起こる「即時型反応」と、1〜2日後に起こる「遅延型反応」があります。もし息苦しさが出るようなら直ちに医療機関を受診するようにしてください。

発疹やかゆみなどの症状について

年齢や体質、刺された部位や過去に刺された回数によって、そのあらわれ方には個人差があります。熱を帯びている場合やかゆみがひどい場合は、冷やすことにより症状を軽くすることができます。

かき壊してジュクジュクしてしまうと、なかなか治らなくなってしまいますので、かゆみがひどいときや全身に蕁麻疹が出たときは医療機関を受診してください。

毒性の強い虫の場合

ハチやムカデなどの毒性の強い虫の場合も医療機関を受診してください。

原因となった虫や刺された時間が何かがわかると適切な対応や治療に役立ちますので、これらの情報がわかるようでしたら、受診時に伝えてください。

参考:田辺三菱製薬HP

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